小さい頃、私の部屋のタンスの上にラジカセがあった。
それはひどく古いもので、母親が若い頃に使っていたらしい。
タンスの上に置いていたというわけではなく、正確には、じゃまなので隅に追いやられていたというのが正しい。
子どもの手の届かないタンスの上は、我が家の不用品置き場となっていた。
カセットテープを入れるデッキが二つあったのだが、一つは蓋がこわれていて、セロテープで貼って何とか使えるというようなありさまだった。
小学校1年生か2年生の頃、イスによじ登り、どうにかこうにかタンスの上のラジカセを降ろすことができた。
その頃は押し入れや家具の上など、手が届くところを漁ることが私の楽しみの一つだったと記憶している。
埃だらけのコンセントやスイッチを掃除して、動かしてみると、中に入っていたカセットテープが再生された。
加山雄三の「海 その愛」だった。
それ以来、加山雄三が何となく好きだ。
母親が好き(だったのだろう)というのもあるし、大人になってから若大将シリーズを観たのだが、あまりの男前さにやられた。
エレキの若大将は、三船や勝新に匹敵する。(異論は認めません)
また、知れば知るほど面白い人である。
紅白歌合戦で、「少年隊で仮面舞踏会」と紹介するところを「少年隊で仮面ライダー!」と叫んだという伝説も好きなエピソードの一つだ。
バイオハザードや鬼武者などゲーム好きというのも有名で、この間観たテレビ番組でも、「ついつい深夜までゲームをやっちゃって、寝て起きたら夕方だった」という大学生みたいな話をしていた。
さらにすごいなあと思うのは、新しい音楽に対しての寛容さだ。
最近はHIP HOP界隈との交流が多く、3月に発売されたリミックスアルバムもとても良かった。
何せ本人が、ラップやDJに興味深々なのである。
こんなカッコイイ加山雄三さんが今日で80歳になる。
80!80?
80にしてゲームで夜更かしとか、ラップに興味あるとか、クレイジーでクールだ。
新しいものに好奇心を持ち続けられる姿勢は、見習いたいし尊敬である。
加山雄三さん誕生日おめでとうございます。
家庭教師のコーソー 教務課 イシイ